家を建てる手順7ステップ もう注文住宅で失敗しない重要ポイント

家を建てる手順7ステップ もう注文住宅で失敗しない 重要ポイント
相談者さん

注文住宅で家を建てたいんだけど、うまくやる手順ってあるのかな?

FP内田

無計画に家づくりをはじめると、いつのまにか売り手側のペースに乗ってしまいます。必要な知識を身に着けて 正しい手順で進めてください

こだわりの注文住宅で家を建てようと思っても、なにから始めたらいいのか迷ってしまいますよね。ふだんは完成品を買うことに慣れているから 不安になるのが自然です。実際に 注文住宅は あなたが決めなければいけないことが(建売住宅と比べて)ずっと多いので 注意を要します。

「注文住宅ならハウスメーカーや工務店に相談すればいいんじゃないの?」と考えるかもしれませんが、それはちょっと手順を間違えています。事前に知識を得て あなたのマイホームプランを策定することから 始めましょう。「どういう家」を「いくらの予算」で建てたいのか。ゴールも決まっていないのに走り始めたら 後悔することになるでしょう。

そこで この記事では 家を建てる手順を7ステップで解説しながら、注文住宅で失敗しないための重要ポイントを伝授していきます。自信をもって家づくりを進めるため、ぜひ参考にしてください。

目次

家を建てる人が理解しておくべき前提知識

家を建てるときには請負契約を締結します。請負契約は 企業間で交わされることが多い契約形態なので 、個人では馴染みのない人が大半でしょう。しかし、契約とは法的効力を有する厳格なものですから 何かトラブルが発生したときに「よく知らなかった」では済まされません。特に契約内容変更や支払条件および解約ルールについては注意が必要です。契約書にハンコを押す前に、しっかりと頭に入れておきましょう。ここでは 家を建てる人が理解しておくべき前提知識として 請負契約について解説します。

新築戸建住宅には2つの契約形態があります。パッと見てわかるよう、表にしてみました、

売買契約請負契約
対象建売住宅、土地注文住宅、売立住宅
契約時期建築確認の後建築確認の前
宅地建物取引業法該当非該当
違約金なしあり
2つの契約形態

売買契約と請負契約の使い分けは、締結時に契約の対象がカタチになっているか否か。カタチあるものは売買契約、カタチ無きものは請負契約ですね。そして売買契約と請負契約の決定的な違いは 宅地建物取引業法の適用。これによって解約時の取扱いが大きく異なります。

売買契約

契約締結後でも契約履行前なら手付金の放棄で契約を解除できる(売り手は手付金の倍額)

請負契約

契約書に定められた違約金を支払って解除する。工事着手前の違約金は建築費の10%程度(各社で異なる)

売買契約は 契約するときに土地単独 または 土地と建物がセットで販売されているときに締結されます。いっぽう請負契約は これから家を建てるときに締結。契約時点ではまだ工事は始まっておらず、契約締結をもって 施工が開始されます。土地を購入して注文住宅を建てるときは、土地の売買契約を締結したあとに 建物の請負契約を交わすことになります。

建築確認では、建築主から申請された建物が建築基準法に適合しているかを 自治体や指定機関がチェックします。1回目は図面による審査て、これに合格するまでは 工事に着手できません。そして 2回目は完成後。担当者が実際に現地まで来て 申請図面と現物に相違がないか確認します。これに加えて、3階建て以上など各自治体が定めた建築物は、工事中に担当者が現地まで来て 中間検査を行います。

ここで 建築確認申請から引き渡しまでの流れを把握しておきましょう。

建築確認の申請〜書類審査
建築確認済証の交付
着工〜竣工 (3階建て以上は中間検査)
完了審査の申請〜完了審査
検査済証の交付
引き渡し

家を建てる正しい手順 7ステップ

前段でご説明したとおり、請負契約は対象がカタチになっていないタイミングでハンコを押します。つまり図面やパースから完成物をイメージして、それに支払う対価が妥当なものかを判断するわけです。これって結構むずかしいと思いませんか?

だからこそ 事前の準備が欠かせません。相手のペースに乗ってしまうと 的確な判断ができず 後悔することになります。自分のペースを守るために 家を建てる正しい手順を 7ステップで学習していきましょう。

ステップ1:住宅に詳しい独立系FPに相談する

家を建てるとき 最初にやるべきことはライフプランの作成です。なぜなら住宅購入は人生を左右するほど高額な買い物であり、その決断にはその先のマネープランを練っておくことが不可欠だからです。

設計図を作らずに 家を建てはじめるハウスメーカーは ありませんよね。もし設計図が無かったら 行き当たりばったりで施工することになり、ガタガタの家になってしまうでしょう。

家族が幸せに暮らせるように建てた家がきっかけで、あなたの人生がガタガタになってしまったら本末転倒です。家を建てるときには いきなり住宅展示場や不動産会社へ行ってはいけません。行って良いのは、ライフプランを作って住宅購入の予算を決めてからです。絶対に。

家の設計図をプロの建築士に依頼するように、人生の設計図である ライフプランの作成はプロのFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しましょう。できれば住宅に詳しい独立系FPを選ぶと安心ですね。独立系FPって? という人は こちらの記事で解説してますので、よかったら読んでみてください。

ステップ2:理想の間取りを描いてみる

せっかく注文住宅を建てるなら、あなた仕様にカスタマイズされた 暮らしやすい家にしたいですよね。そんなの注文住宅なんだから当たり前じゃない? って思った人はこの記事を読むメリットありですよ。

よくある建売住宅のような間取りの注文住宅を見ると、ガッカリします。これは決して建売住宅が良くないと言っているのではなく、注文住宅の利点を活かせてないから残念なのです。ここで 注文住宅と建売住宅の相対的な違い整理してみますね。

注文住宅   建売住宅   
設計の自由度高い低い~なし
価格高い安い
完成イメージの難易度難しい簡単
入居までのスピード遅い早い
住宅ローンの手間面倒お手軽
注文住宅と建売住宅の相対的な違い

あくまで簡易的な比較ですが、こうしてみると注文住宅はデメリットが多いと思いませんか? だからこそ 注文住宅を建てるのに設計の自由度を活かせなかったら 残念すぎるんです。では、設計の自由度を活かすには どうするべきか。それはゾーニングを描くことです。

ゾーニングは 家づくりを考えるうえで重要なプロセスの1つです。一般の人は あまり目にすることのないゾーニングですが、プロの建築士は必ず描くもの。このプロセスを省いて いきなり設計図を作成することはできません。

なぜ それほどゾーニングが重要なのでしょうか? たとえば 映画制作でいうと絵コンテにあたるのがゾーニングです。絵コンテの目的は、出演者やスタッフ向けに 撮影カットのイメージを共有すること。出演者やスタッフは 絵コンテのおかげで 映画監督の意図を理解し、それを実現しようと 効率的に立ち回れるのです。

話を家づくりに戻すと、この出演者やスタッフにあたるのが建築士。そして映画監督は あなたです。監督が 作品のイメージを伝えなければ、建築士は 良い仕事ができないワケが ご理解いただけたでしょうか。

用途の近い部屋をひと塊のブロックとして捉えて、大まかな配置を決めていくのがゾーニング。3つのゾーンに分けるのが一般的です。

  • パブリックゾーン  : リビング、ダイニング、畳コーナーなど 
  • プライベートゾーン : 寝室、子ども部屋、書斎など
  • サービスゾーン   : キッチン、浴室、トイレなど

まずは 平面ゾーニングを検討します。異なるゾーンが複雑に交錯しないよう、シンプルなゾーニングを目指しましょう。家族が集まる パブリックゾーンの位置を最初に決めると あとの作業がラクになります。

ゾーニングの例
平面ゾーニングの例

次に考えるのが 立体ゾーニング。キーワードは「距離」と「騒音・振動」です。

距離

サービスゾーンはパブリックゾーンやプライベートゾーンから遠くなり過ぎないように。できれば パブリックゾーンとプライベートゾーンそれぞれから均等の位置にあると暮らしやすくなります。

騒音・振動

家族が集まったり、来客のあるパブリックゾーンは騒音が発生しやすく、洗濯機の振動が伝わることもあります。できるだけ寝室などのプライベートゾーンに影響を及ぼさないような配置が望ましいでしょう。

ただ、平面ゾーニングに比べると 立体ゾーニングは難しいと思います。理由は階段。1階の階段位置が変更になると 2階の階段位置も変わってしまいます。まるでパズルを組むようなものなので、(階段位置を無視して)1階と2階の平面ゾーニングを描いたら、立体ゾーニングはプロ(建築士)にお任せしてもいいですね。

せっかく注文住宅を建てるなら、家族の想いを詰め込んだゾーニングを描いて 建築士をリードしてあげることが肝心です。ゾーニングから始めて、あなた仕様にカスタマイズされた 暮らしやすい家を建てましょう。

ステップ3:ハウスメーカー選び

注文住宅を建てる人なら まず足を運ぶであろう住宅展示場。そこには高級邸宅から廉価住宅まで バリエーションに富んだ建物が軒を並べています。性能で選ぶのも良し、デザインで悩むのも良し、はたまた構造工法で決めるも良いでしょう。しかし そこには予算という壁が…。現実は なかなか厳しいですよね。

予算に見合ったハウスメーカーを探すときに よく使われるのが「坪単価」という指標です。ハウスメーカーを比較するWebサイトで取り上げられていますし、ローコスト住宅の宣伝にもよく使われますので 聞いたことのある人は多いでしょう。

  • 建物の本体工事費 ÷ 延べ床面積 = 坪単価

たとえば 建物の本体工事費が3,000万円で 延べ床面積が60坪の物件があったら、坪単価は 3,000÷60=50万円となります。一流ハウスメーカーだと坪単価100万円超が主流ですが、ローコスト住宅では坪単価20万円台なんていうのもあって その差ナント5倍。「そりゃ安い方がいいよね」って思うのがフツウですけど あんまり安いのは怖いな…という人が多くて、結局のところ 坪単価50万円が相場だといわれます。しかし この坪単価、知らないと危険な落とし穴があるのです。

【落とし穴 その1 】 坪単価で算出した予算で、家は建てられない。

坪単価30万円のローコスト住宅で延べ床面積60坪の家を建てようとします。あなたは 30×60=1800万円の予算を組みますが、提示された見積書には追加費用が書かれていて 総額は2,520万円でした。計算してみると 2,520÷60=42。本当の坪単価は42万円だったわけですね。

実は総額工事費に占める本体工事費の割合は7割程度で、付帯工事費が2割程度、諸経費が1割程度かかります。単に坪単価という場合、本体工事費しか含まないことが多いので注意が必要です。全体の予算を知りたければ 「坪単価×延べ床面積×1.4倍」を目安にしましょう。

付帯工事費

・電気設備関連費用

・インテリア関連費用

・エクステリア関連費用

・基礎補強工事関連費用

・水道、ガス引き込み関連費用

諸経費

・登記費用

・住宅ローン手続き費用

・火災、地震保険料

・つなぎ融資費用

・引っ越し費用

【落とし穴 その2 】 イニシャルコストだけで考えると損をする

家は「建てたら おわり」ではありません。ずっと維持費がかかります。坪単価が安ければイニシャルコストを抑えられるわけですが、ランニングコストが割高かもしれません。たとえば外壁によく使われる窯業系サイディングは10~15年に1度 塗り替えメンテナンスが必要です。相場は60~80万円(建物の大きさによって異なります)。いっぽう イニシャルコスト(坪単価)はアップしますが 30年塗り替え不要なサイディングもあります。これなら塗り替えメンテナンスの費用は50~66%安くなりますよね。

それだけではありません。細かな差はあれど「坪単価の安さを追求 → 断熱性能の低下」と考えるのが妥当でしょう。ヒトが生活していれば光熱費の支出は避けられませんが、断熱性能の優れた家ならエアコンの使用量が抑えられます。今夏(2022年)は電力供給が綱渡りでしたが、さらに深刻だったのが電気やガスなどエネルギー料金の値上がりでした。将来的にもエネルギー料金が値下がりする材料は見当たりません。

維持費がどの程度かかるのか、断熱性能はどうなのか、きちんと調べもせずに注文先を決めてしまったら 後悔すること間違いなし。これを「安物買いの銭失い」と言います。

ステップ4:プラン設計と見積提示

注文先の候補が ある程度絞れたら、実際にプランニングや見積をしてもらいましょう。ここからがハウスメーカー(または工務店)選びの本番です。コミュニケーションを繰り返すうちに、相手の対応力や提案力が見えてきます。なかでも一番大切なのは「相性」かもしれません。これが決め手になる方は多いですよ。建築相談やヒアリングでは、新居のイメージや要望、ライフスタイル、資金計画など 疑問や不安をどんどん伝えましょう。

良い担当者の見極めポイント

・話を丁寧に聞いてくれて、言葉や行動に 誠意が感じられる

・自社のデメリットを包み隠さず、きちんと話してくれる

・わからないことを知ったかぶりせず、迅速に調べて回答してくれる

できないことは正直に話し、代わりの提案をしてくれる

・報告や連絡が早く、フットワークがよい

・打合せ内容を正確に記録してくれる

いちばん大切なのは「誠実さ」ですね。話が上手い人はたくさんいますが、注文を取りたいがために ウソをついたり ごまかしたりするようなケースも耳にします。あとは感覚的な問題かもしれませんが「話しやすさ」も大事。誰でもありますよね? ウマが合うってやつ。もし注文先として決定したら、アフターフォローも含めて長い付き合いになる相手です。気持ちよく、安心して任せられるパートナーを見つけましょう。

打合せが進んで 設計プランが決まると見積書が提示されます。見積の形式は各社で異なりますので ここからは一般的なパターンで解説しますね。見積書には「概算見積書」と「実施見積書」の2種類あることが多いのですが、欲しいのは実施見積書です。概算見積書は名前の通り あくまで「概算」なので信憑性に欠けます。

実施見積書

・総工費

 ・工事項目別の集計金額

  ・工事項目ごとの内訳明細書

このように 実施見積書は先に進むにつれ、細かく表現される形式になっています。信頼できるハウスメーカーや工務店の内訳明細書は内容が詳細でわかりやすい。なぜ ここで見積書の話をしているかというと、注文先を決める材料として最適だからです。見積書を精査することで ハウスメーカーや工務店の実力が浮き彫りになります。

信頼できる見積書の見極めポイント

・仮設工事や基礎工事といった工事内容が項目別に記載してある

・それぞれの項目ごとに 次の数値が記載されている

 ・工事内容(規模、寸法、仕様など)

 ・数量

 ・単価

 ・金額

見積書の精度が高いほど 実際の工事で発生する費用との差が少なくなります。これはとても重要なことですよね。

ステップ5:工事請負契約

これまでの過程で注文先を絞れたら、いよいよ契約締結です。注文住宅で家を建てる場合には建設工事請負契約を結びます。なんだか名前を聞いただけで難解な雰囲気が漂っていますが、あとでトラブルにならないよう ここでポイントを押さえておきましょう。

【契約を結ぶ前の注意点 その1】建物のプランが固まる前にハンコを押してはいけない

建設工事請負契約とは 「どのような家」を「どのような条件」で建ててもらうかを書面で明確にし、発注者と受注者が各々押印して「権利と義務」を約束するものです。ハンコを押したら 後戻りできない覚悟で臨んでください。当然 その時点では建物のプランが決まっていなければなりません。

ところが驚くべきことに、間取りすら固まっていないのに 契約書にハンコを押してしまっているケースがあります。恐ろしいですね…。これでは契約書に縛られてしまって思うように家づくりを進めることができません。もちろんプラン変更などが生じた際の価格交渉も不利な状況になってしまい、損をすることになります。

【契約を結ぶ前の注意点 その2】事前にコピー(契約書と約款)をもらって疑問点を洗い出す

建設工事請負契約書には さまざまな条件が記載されていますが、そのなかでも とくに重要なものが「請負代金」です。職業柄 たくさんの建設工事請負契約書を見てきましたが、請負代金が未記入であったり、仮の金額で記載されている契約書を見ることがあります。信じられませんよね? 

請負代金(発注額)ですら不明なのに 契約と呼べるのか疑わしいものですが、こういう不完全な契約書でもハンコを押してしまう人がいるのです。よほどノルマに迫られた営業マンにゴリ押しされたのかな?…と思って施主に聞いてみるとプランが固まらないうちに契約締結を迫られたケースが多いようです。「なるほど プランが決まっていなければが 請負金額も決められないか」なんてヘンに納得することも しばしば。

こうなる原因は契約書の内容をしっかり読む時間もないことにあります。これを回避する方法は「事前にコピー(契約書と約款)をもらっておくこと。できれば1週間前にはコピーを受け取り、次に挙げるポイントをチェックしておきましょう。出てきた疑問点を洗い出しておけば、契約当日に質問して明確な回答を得てから 気持ちよく押印することができます。なお、まれに約款を交付しない工務店があるようですが まったくの論外です。契約の拠り所になる条文が無いのですから、のちのちトラブルになることが予想されます。そのまま契約締結するのは慎重になるべきでしょう。

建設工事請負契約書のチェックポイント

注文者と工事請負者

  施主が注文者になります

工事監理者

  設計図通りに建築しているか、施工ミスをしていないかを現地で確認する人です。ハウスメーカーや工務店の社員が担当したり、外部の建築士等に委託すするなど様々です。誰が担当するのか 押印前に確認しておきましょう。

建設工事場所

  目的の建物を どこに建築するのかを明確にします。

工事請負代金

  見積書を添付してもらうと、正しい金額であるか照合することができます。

着工日、完成日、工期

  スケジュールを明確にします。工事請負者の責任で工期が延びた場合は、遅延損害金が注文者(施主)に支払われます。

引き渡し日

  完成日と同日になるケースが多いようですが、建物の所有権が移転される 重要な期日になります。

約款のチェックポイント

施工の技術基準

  ハウスメーカーでは独自の基準を設けていることがありますので 押印前に説明を受けましょう。それ以外では建築基準法や関係法令を基準としているケースが多いようです。もし基準が設けられていないのであれば、客観的な拠り所のない技術レベルで施工することになります。基準の明文化を要求しましょう。

工程表

  建設工事請負契約を締結する段階では まだ工程表が作成できないケースも多いことでしょう。したがって 約款に交付時期を記載してもらうことが重要です。着工から完成までの 工事の流れを把握するのが目的ですから、遅くても着工までには必要だと認識してください。

設計図面に適合しない施工

  発注者(施主)は設計図どおりに建築することを要求しています。もし 現場の状況が 設計図と異なっていたら大変ですよね。しかし人間が行うことですからミスはゼロになりません。そのようなときの対応を事前に取り決めておく必要があるのです。ミスが請負者の責任なら 無償で補修してもらわなければいけませんし、その影響で工期が延長されるなら 発生する負担金の対応をしてもらいます。

第三者の損害

  建築現場の隣家に損害を与えたり 通行人などにケガをさせた場合など、原因が請負者であるなら (発注者ではなく)請負者の負担で迅速に賠償することを明文化しておきます。

完成検査の実施

  建物が完成したら 施主(注文者)が検査をおこないます。完成しているので 壁の中や屋根の上は見えません。請負者の担当と一緒に 仕上がり具合を目視でチェックしていきます。クロスのシワや汚れ、床材の傷や凹み、建具の動作異常などが検査のメインになります。もし補修の必要があれば すぐに補修を済ませた後、再検査をおこないます。このような検査の機会を設けていない請負者もいるようですから、必ず約款で確認してください。

工事内容、請負代金、工期の変更

  不可避の自然災害で工期が大幅に遅れたり、工事がはじまってから工事内容を変更した場合などを想定し、責任の所在や請負代金の調整について記載するものです。

違約金

  引き渡しが遅れた場合に発生する違約金について取り決めておきます。

契約解除

  避けたい事態ほど あらかじめ 対応をルール化しておく必要があります。注文者と請負者 双方からの解除について明確にされているか 確認してください。

契約不適合責任と保証

  請負者が定めている保証期間やアフターサービス、契約不適合責任が記載されています。なお 10年保証が法規で定められています。

ステップ6:着工

ご近所との関係は最初が肝心。着工前の段階でハウスメーカーや工務店の担当者と一緒に挨拶回りをしておきましょう。我が家は 地縄張りの立ち会い後に済ませました。

敷地に縄で建物の位置を表すことを地縄張りといいます。基礎の下書きみたいなイメージでしょうか。施主のOKが出るまでは 建物の位置が確定しません。基礎を作り始めたら もう移動できませんからね。

このとき現場責任者と営業担当者 そして施主が立ち会うので、ちょうど都合がいいんです。着工すれば 関係車両の出入りが増えて通行人の邪魔になったり、工事の騒音や振動が近隣に伝わります。ですから まだ静かなうちに「これからご迷惑をおかけします」とお詫びしておくことが たいへん重要なのです。

さて、いざ 挨拶しようと思うと どこまでが近隣なのか悩みませんか? そんなときは 昔から使われるキーワードに従いましょう。「向こう三軒両隣」って聞いたことありませんか? 両隣と道路を挟んだ向かいの家 プラスその両隣の合計5件を指す言葉です。もし 音が聞こえたり 掃除で顔を合わせる可能性を考えるなら、裏手の家も回っておいて損はありません。それでも合計6件。あっという間に済みますよ。

訪問する時間帯

10時〜12時、14時〜18時

早すぎず 遅すぎず ランチタイムを避けるとこの時間帯に落ち着くはずです。不在がちで なかなか会えないお宅には 手土産に ちょっとした挨拶メモを添えて玄関先に置いておけば大丈夫。とはいえ、面識がないままなのは避けたいもの。面倒でも、曜日や時間を変えて 何度か訪問してみてください。ほとんどのテレビドアフォンには録画機能がありますから、チャイムを鳴らして応答がなくても、カメラレンズに向かってご挨拶しておけば 誠意が相手に伝わります。

手土産の価格相場

500円〜3,000円

ずいぶん幅があるな~って思いましたよね。そうなんです。みなさん自宅からの距離に応じてグレードを変えてるんです。たとえば両隣はもっとも近く 関わりも多くなるので2,000円、道路を挟んだ3軒や裏手の家は1,000円 みたいな感じです。また、着工前だけでなく、引っ越し時にも挨拶周りをします。この場合、着工前に1,000円、引っ越し時に2,000円というふうに、住み始めるタイミングが近づくにつれて手土産のグレードを上げていきましょう。

手土産の選び方

形に残らないもの ~ 定番は 菓子折りなどの食べ物。洗剤などの消耗品もよく選ばれる

どの家でも必ず使いそうなもの。形には残りますが タオルセットも良いと思います。ちょっと贅沢なタオルって もらって嬉しいですから。どうしても迷ったら カタログギフトがおススメですよ。手土産には熨斗も忘れずに。表書きは「御挨拶 〇〇」です。〇〇は施主(あなた)の苗字。新入りを覚えてもらえるように名前を入れましょうね。

いよいよ 着工したら どんどん建築現場に行きましょう。

施主と職人さんが顔を合わせる機会が増えるほど、信頼関係が良好になります。現場に行ってみればわかりますが、ものすごく過酷な環境です。エアコンなんてありませんから夏は猛烈に熱く、冬は寒いですし、木材を切ったり削ったりするので めちゃくちゃ埃が舞ってます。しばらくいるだけで木粉だらけになりますよ。

そんな状況で黙々と仕事をしていると心が折れそうになるときってあるんじゃないでしょうか? もちろん 職人さんはプロですからテキトーに仕事をやっつけるようなことはしないでしょうけど、「丁寧にやるのか」、「まぁまぁ普通にやるのか」くらいの違いは出ちゃうかもしれません。(そういう話、実際に職人さんから聞いたことあります…。)

そんなとき、施主と良好な信頼関係があったら「キツイけど、この人のためなら 丁寧な仕事をして 良い家を作ろう」ってなりますよね。だから、できるだけ頻繁に現場へ行くのが正解なんです。

現場に行ってなにをするのか

間違っても「ミスや手抜きを見つけてやろう」なんて思わないでくださいね。そんなことしたら逆効果です。信頼関係はお互いを信頼し合うことで生まれます。だから 施主が職人さんを信頼していなければアウト。設計図という紙ぺらのマイホームを 現実のカタチにしてくれるのは目の前にいる職人さんたちなのです。

2013年に日本代表がW杯出場を決めたとき 飛びだした あのDJポリスの名言を借りれば「施主は12番目の選手。(日本代表のような)チームワークで 職人さんと良い家を建ててください」となるでしょう。あなたは最高のサポーターとして職人さんを応援してください。チェックなどしなくとも、施主が建築現場に顔を出すだけで (良い意味で)自然な緊張感が生まれるものです。

ステップ7:竣工・引き渡し

ついに あなたのマイホームが完成しました。1日でも早く住み始めたいですよね。その気持ちは よ〜くわかりますが、ここで浮かれてはいけません。家づくりを成功に導くには最後の詰めが肝心です。注意点をしっかり読んで、新生活を気持ちよくスタートしましょう。

まず最初に すごく当たり前のことを書きます。「家が完成する前に 引き渡しを受けてはいけません

頭がおかしくなったのかと思われるかもしれませんが、真面目に書いてますよ。

実は先日、工務店から「(ほんとうは完成してないから引き渡せないけど)書類にハンコだけ押して 引き渡したことにしてほしい」と言われた人がいたんです。どういうこと?って思いますよ、フツウは。その人もフツウの人だったので理由を聞いたら、相手は「決算が近いから」と答えたそうです。なるほど。

そういえば 大手ハウスメーカーが決算に未完成の住宅を売上計上し、粉飾決算で世間を騒がせたことがありましたっけ。つまり、家は完成してないと売上にできないんですよね。

で、その人は優しいもんだから「信用できる担当さんがノルマで困ってるなら協力してあげようかな」なんて言うわけです。

想像したくはありませんが、こんなことが起きたらどうします?

・傷や不具合を補修したもらえなかったら…

・期日を過ぎても完成しなかったら…

・未完成のまま工務店が倒産したら…

でも あなたは引き渡しを受けてしまっているので、法的に責任を問えない可能性が高いのです。まさに悪夢。ゼッタイに泣き寝入りなんてしたくないですよね。ですから たとえどんなに信用できそうな相手でも、完成前の引き渡しは固くお断りしましょう。

いささか前置きが長くなりましたが、ここから引き渡し時の注意点に入りますよ。やってほしいのは たったの3つです。

・写真をとる

・書面にする

・控えをもらう

小さな傷や汚れ、わずかな凹みなど、ささいなことでも遠慮せずに指摘します。補修個所がわかるよう養生テープなどでマーキングしたらスマホで写真を撮ってください。これが証拠になります。

引き渡し時に立ち会う人と補修をする人は異なるのが普通ですから、きちんと引き継ぎされるよう書面に記録してもらいましょう。口頭だと、あとで「言った 言わない」の不毛なトラブルになりかねませんからね。

最後に書面の控えもらうのを忘れずに。複写式の議事録ノートなら 控えを切り離してもらえばOKですし、そうでなければ書面をパチリとスマホ撮影しておくべし。これで書面があなたの手元に残ります。

こういった補修作業は「残ダメ工事」と呼ばれ、当たり前に発生するもの。気を遣う必要はありません。期日までに補修作業が完了していればOKです。ただし、もういちど施主が検査をして やっぱりNGなら、なんどでもOKになるまで補修してもらってください。あなたの大事な家です。完璧にして引き渡してもらいましょう。

まとめ

ここまで家を建てる手順を7ステップで見てきましたが、なんとなくイメージできたでしょうか。最後にザっとおさらいしておきます。

ステップ1:住宅に詳しい独立系FPに相談する

 住宅購入は人生を左右するほど高額な買い物です。身の丈に合わないローンは あなたをずっと苦しめます。なかには自殺を考える人もいるほど深刻なものですから、まず最初に独立系FPに相談して、将来設計(ライフプラン)を作りましょう。

ステップ2:理想の間取りを描いてみる

 ゾーニングなら誰でも簡単にできます。自分の暮らしやすい家をイメージするために描いてみましょう。

ステップ3:ハウスメーカー選び

 坪単価(イニシャルコスト)だけで選んでしまうと、その後のランニングコストに大きな差が出ます。

ステップ4:プラン設計と見積提示

 設計提案力とリアルな見積は、良いパートナーの見極めポイントです。できるだけ同条件で複数社を比較してください。

ステップ5:工事請負契約

 契約書は重要事項が盛りだくさん。必ず事前にコピーをもらって疑問点を洗い出しておけば安心です。

ステップ6:着工

 どんどん現場に行きましょう。職人さんとの信頼関係が良い家をつくります。

ステップ7:竣工・引き渡し

 残ダメ工事は当たり前。不備があれば 臆することなく指摘して、確実に補修してもらいましょう。

あなたが 家づくりの迷いや不安から解放されることを願っています。ぜひ自信をもって理想のマイホームを建ててくださいね。

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