
子育ての費用はどのくらい必要なのかしら?



子育てには「養育費」と「教育費」が必要です。食費や洋服代などが養育費、学校や塾に支払うものが教育費で、公立 or 私立で異なるものの、その累計はマイホームが買えるくらいの金額になると言われます。



そんなに!? 2人目を考えてたけど、ウチには無理なのかも…



大きくなるにつれて お金がかかるようになるので、早くからコツコツ準備をすれば大丈夫。特にお金のかかる大学は入学時期がハッキリしていますから、自動的にお金が積み立てられる仕組みを作りましょう。
教育資金ほど予定の立てやすいライフイベントはありません。今日誕生した子は18年後には必ず18歳になります。いまでは高校を卒業する子どもの約8割が大学や専門学校に進学します。べつに大学に行かなくたって構わないけれど、お金の準備だけは大学にいく前提ですすめておきましょう。
子どもが小さいときは負担が軽いものの、成長するほど高額化していくので、早くから準備を始めておかないと 貯める余裕がなくなります。児童手当などをキチンと生活費と分けて管理し、少しでも利回りの良い積立定期や学資保険など、満期受取金が元本保証されている商品で積み立てるのが基本です。
兄弟姉妹がいる場合はそれぞれの子どもへ平等に準備してあげましょう。「上の子にお金を使っちゃったから、下の子に使えるお金が無い」なんて、あまりにも可哀そうですから。もしそうなれば、下の子だけが10年以上の長期間ずっと奨学金を返済し続けなければなりません。
それでは教育資金相談の流れをご説明します。
すでにお子様がいらっしゃる方より、子どもはほしいが 教育資金を不安に思う方のご相談が多くなっています。子どもを産むことに対して、とても慎重になっている傾向が窺えますね。いずれにしても相談の流れは同じです。教育資金形成のベースになる金融資産の推移をできるだけ正確に予測するため、ライフプランをつくります。現在の家計収支から、予測される収入の変化や 今後のライフイベント、子どもにかける教育費の方針や リタイア後に希望する生活レベルなどを情報収集します。なかでも住まいに対する希望のヒアリングは欠かせません。子どもが小さくてまだお金がかからないときに抱えた住宅ローンが、子どもが大きくなってお金がかかるときに耐えられない重荷となることが多く、苦しむご家庭をたくさん見てきましたから。
ライフイベント表、キャッシュフロー表をつくり、これから起こるライフイベントに伴ってお金の収支がどのように変化していくのかを把握します。貯蓄額が増えていけば問題ありませんが、途中で貯蓄が底をつき、キャッシュフローがマイナスに転じるケースも珍しくありません。住宅ローンを返済しながら、なんとか子どもが社会人になるところまで凌いだとしても老後破綻に陥るのです。2021年6月4日に改正国家公務員法が可決成立し、国家公務員の定年が65歳に引き上げられましたが、中小零細企業では60歳定年が多い状況が変わりませんし、その国家公務員ですら60歳超の給与は当面 直前の7割程度とされています。もし、その時期まで住宅ローンの返済が続くなら 破綻リスクはかなり高いと言えるでしょう。
相談の目的である教育資金の積み立て方法を分析します。希望の進路に対して必要になる資金とタイミング、積立ては預貯金とするのか、学資保険を利用するのか、預貯金の金利や学資保険の戻り率などを徹底的に比較検討。教育資金は増やすことも大切ですが、ぜったいに減らさないことが重要です。すでに教育資金は確保した人が余裕資金で積み立てるなら、外貨預金や投資信託・株式投資でも構いませんが、そうでない人は円建てで元本保証されている商品を選びましょう。子どもが大学入学時に「たまたま円高」とか「運悪くマーケット急落」なんてこともあり得ますから。ちなみに、学資保険という名前だけで安心してはいけません。元本割れするとは知らずに加入していた学資保険を見つけ、やむを得ず損切りする悔しそうな顔をたくさん見てきました。可愛い子どものために少しずつ積み立ててきたお金が、増えるどころか減ってしまうなんて、あまりにもセツナイです。
かつて「サラリーマンは2度破産する」藤川太 著(朝日新書)という本が売れました。Amazonの紹介文には、こんな恐ろしい言葉が並んでます。「人並みの給与所得。子どもがいる。住宅ローンがある。生命保険に入っている。これらにあてはまったら、あなたの家計は危なすぎる。二極化といわれるが、家計のリスクが高いのは実は『中の上』の家庭。十分な貯蓄がなければ、定年後、確実に破産の時がやってくる。(以下、省略)」
いかがでしょう? 「子どもが希望する進路を『お金の心配なんてさせずに』歩ませたい」という親心は理解できますが、一度乗ってしまったら、途中下車できないという覚悟が必要です。大学なら4年間、もし中学から私立へ通わせるなら10年間、ひたすら走り続けるしかありません。乗車するのは、「ぜったいに払い切れる」算段がついてからにしましょう。シミュレーション結果で破綻の可能性が示唆された人もご安心を。実現可能性の高い改善案をご提供しますので、いますぐ対策をしましょう。
出来上がったライフプランと教育資金の積立て資料を相談者にご説明。スタート地点で収支が合っていないと、未来に向かってどんどん誤差が広がってしまうので、現状をきちんと反映したキャッシュフローになるまで、何度でも修正を繰り返します。そして 改善案をご用意した方には「なぜその方法を選んだのか」をご理解いただくようにしています。どんな手段を講じるにしても、解決の第一歩は 本人が意識して お金の使い方を変えることです。
さぁ、これでようやくPDCAのPのところに立てました。 お子様の希望進路を叶えるために、明日から→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善) →Plan(更新した計画)というサイクルを元気よく回していきましょう。
ここからは、実際の相談事例をご紹介しましょう。
小さなお子さん2人の子育てに奮闘中のCさん夫妻。現在は社宅暮らしですが、もうすぐ社宅を出なければなりません。教育費を優先させたいので、マイホームが無理ならずっと賃貸暮らしで良いと考えていましたが、家族4人で快適に暮らせる賃貸は予想よりも家賃が高く…。いちど専門家に聞いてみようと相談を申し込まれました。



5歳の息子と2歳の娘がいます。わたしは2人目の出産を機に仕事を辞めました。とくに息子がヤンチャで毎日が運動会みたいです。



それは大変ですね。ちょっと目を離すと、なぜか 片付けたところから 散らかしませんか? まさに体力勝負の毎日だと思います。



はい。それでも社宅が広いから助かってるんですが、同じ広さの賃貸物件を探すとスゴく高くて。これなら家を買ったほうがいいかな?と思うものの、子ども2人を大学まで行かせるお金が準備できるか心配で。



あくまで教育資金の確保が優先だけれども、住宅ローンを組んだ場合にどうなるのか 把握されたいんですね。早速 ライフプランをつくってシミュレーションしてみましょう。
子育ての環境は大切ですよね。できれば広くて快適な家で伸び伸びと育ててあげたい。大きな声で歌ったり、踊ったり、ビアノを弾いたり。騒音なんて気にせず、子どもの好きなように暮らしてほしい。ときには お友達を呼んでパーティーを開いたりして。でも、その家のせいで希望の進学を断念させたのでは本末転倒ですよね。奨学金もできれば避けたいところ。社会人になったばかりの薄給で、10年以上も借金を返済し続けるのは大変なことです。
人生3大資金で優先するのは、1位「教育資金」、2位「老後資金」、3位「住宅購入資金」となるでしょう。ところが、ライフイベントの発生順は一般的に「住宅」「教育」「老後」となります。この優先順位に気づいている Cさん夫妻のようなケースは珍しく、多くの人々は「優先順位」と「イベント発生順」の罠にハマってしまいます。
さて、Cさん夫妻の現状と将来の希望をヒアリングをしたあと、何度か修正を繰り返して 出来上がったシミュレーション結果が下の画像です。
【見直し前のキャッシュフロー表】


・長男の大学進学から急激に年間収支が悪化
・それまでに十分な預貯金が貯められないため、金融資産残高もマイナスに転落
キャッシュフローのうち、金融資産残高の推移をグラフ化した結果が下の画像です。
【見直し前の金融資産残高 推移予想】


残念ながらCさん夫妻の不安は的中してしまいました。ご希望どおりの生活を送ると、お子様の教育費の捻出が難しい状態です。
そこで、問題を解決する方法を検討し、キャッシュフローに反映させます。
Cさん(奥様)は「子どもの将来(教育費)のためなら、パートで働いても構わない」という考えでしたので、長女(第2子)が幼稚園の年中さんの頃から50歳まで、ご主人の扶養範囲内(年間103万円)でパート収入を得るシミュレーションをしてみました。
対策を反映させたのが下のキャッシュフロー表です。
【見直し後のキャッシュフロー表】


・奥様が年102万円のパート収入を得ることで、収支が改善
・2人の子どもが大学に在籍する期間中も金融資産がプラスを維持
・最も金融資産が減少するタイミングでも530万円の金融資産を保有
【見直し後の金融資産残高 推移予想】





相談して良かったです。早めにパートに出ることで2人の子どもを大学に行かせる教育資金をムリなく貯められますし、老後のお金も安心です。



ご満足いただけて嬉しいです。幼稚園児は帰ってくるが早いので 最初から年102万円も働く必要はないでしょう。家事や子育てと両立できる範囲でじゅうぶんです。定期的にライフプランの金融資産残高と 実際の預貯金残高をチェックして、大きく乖離しないように気をつけましょう。



はい。 自動的に積立できる具体的な商品もわかったし、すぐに計画を実行できます。子どもの成長を楽しみながら お金もしっかり貯めますね!